まどろみがはじまるとき

靴は足を守るために履く。既製品の靴は沢山生産されている。
その中からたった一つ、靴を選ぶ。個人のあしどりとともに歴史を刻む。

使い古しの仕事の靴を型どりした。
靴の中にはタグがあり、持ち主の職業、サイズの記載位置に年齢が書かれている。
最後にタグだけが残る。
仕事での自分、どこかに属している自分は守られている自分である気がするが、
それはとても不確かなものである。
そしてまた必ず誰しも、別の個の時間を持っている。
   ― そのことは自分以外は誰も知らない。
 
      

 
まどろみがはじまるとき

ナフタリン・ミクストメディア
インスタレーション
2003
(CAS・大阪)