私の作品はいつも変化を伴う。
そしてそのことで、儚い印象をもたれることが多い。
しかし、変化することは儚いことなのだろうか。

世界は、変化し続けている。
たとえ動きを止め、変化していないように見えたとしても、すべてが微細な変化の過程にある。
それは、世界が均衡を求める力。
その力は、私たち自身にもゆっくりと働きかける。肌に皺を加え、姿かたちを変え、やがて次の世代へと存在をつなげていく。私たちの心も瞬間ごとに変化し、未来を夢見ている。
世界は変化することで、しなやかな強さを手に入れる。

変化の痕跡を、人は「時間」と呼ぶ。
私は誰かの日用品から、その痕跡を集め、作品をつくる。
そこに表れるのは、時計の針の外で刻まれる個人の「とき」。

土地や場所に流れる時間。私たちのなかにもそれぞれ流れている、自分だけの時間。
日々の生活の中では気づかない、景色や私たち自身が変わりゆく様子。
私はそれらを注意深く見つめ、そっと掬い上げ、世界の小さな結晶として今この時代に置いてみたい。